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18金Gショックのナゼ?ナゼ?を考察

Gショック G-SHOCK G-D5000-9JR 18金

出典:https://g-shock.jp/

2019年5月15日、Gショック指定取り扱い店舗にて18金製の G-D5000-9JR が予約開始となった。生産本数は世界限定35本、価格は7,700,000円+税となる。まるで宝飾時計のような外観と価格だが、驚くことに過酷な使用にも耐えられる耐衝撃性能と20気圧防水をしっかり備えているという。ガンガン使ってくださいと言わんばかりの性能だが、そんなこと恐れ多くて絶対できないであろうこの時計。どうして作ろうと考えたのかなど、現実的な思考では理解し難いその背景を探ってみた。

分割24回払いでも買えない

まずは、どうしても目が行ってしまう770万円という価格だ。いったい消費税にどれだけ掛かるのか計算してみると

7,700,000(円) × 0.08(消費税率) = 616,000(円)

税込価格 8,316,000円

どうも私には馴染みのない数字でピンと来ないので、クレジットカード分割払いのMAX回数である24回払いにして考えることにした。ネットでシミュレーション可能なブランドで計算すると、手数料が合計約135万円上乗せとなり、初月の支払いは約38万円、残り23回は毎月約40万円となった。当然分かっていたことだが、分割回数MAXにしても到底手の届かない現実に涙が出そうになった。。そういえば、カード限度額という現実もありました。。

どうして作る必要があったのか?

Gショックの良さは、誰でも手の届く手頃な価格で、価格以上のパフォーマンスを見せてくれるところにある。しかし今回の時計は誰でも買えるものではないし、価格以上のパフォーマンスが見られるかといったら疑問がある。では何故メリットを自ら打ち消すような商品を開発する必要があったのか。

Gショック G-SHOCK G-D5000-9JR 18金

出典:https://g-shock.jp/

「G-SHOCKの歴史は、夢への挑戦の歴史」このように語るのはGショックの生みの親である伊部 菊雄氏だ。これまでGショックは「~だったらいいのにな」「~だったら便利なのにな」という利用者側に立った夢を形に進化を続けてきた。しかし今回彼が新たに挑戦したタフネスとエレガントの「対極融合」という夢は、その必要性を考えるとGショック利用者に今までのような革新をもたらすことは無いように思える。一般的な思考とかけ離れた夢といえるわけだが、プロジェクトを立ち上げここまで5年もの歳月と手間をかけてきた理由は、Gショックとともに長年歩んできた彼が形にしたいと強く願った夢とロマンがあったからではないだろうか。ロボットアニメは何故2足歩行である必要があるのか?といった現実的な考えが愚問であるのと同じように、何故作る必要があったのかという問に現実的な解答を求めるのは間違いと言わざるを得ない。熱い「夢」あったから、そんな答えが相応しいのかもしれない。
このプロジェクト「Dream Project」という名にその思いが現れている。

では本気で売る気はあるのか

世の中には注目を集めることを目的とした商品が登場することはあるが、G-D5000-9JRに関してはやや異なる印象を受ける。

Gショック G-SHOCK G-D5000-9JR 18金

出典:https://g-shock.jp/

ただ注目を集めたいのであれば、18金よりも純度の高い22金や純金の方がインパクトが強いはずだが、金純度が増すほど柔らかくなりGショックの耐久性能を満たせなくなる。時計バンドだけでなく、ケース・ボタン・小さなビスに至るまで拘って金を使用しているため、Gショックの名を貶めるような見せかけの張りぼてとならないよう入念に思考された背景を感じ取ることができる。またステンレスの1.5倍という重量が生み出す衝撃に耐えられるよう、フルメタル衝撃構造を新たに開発したという点も見逃せない。さらに、人工衛星の高効率太陽電池技術を応用したガリウムソーラーを腕時計に世界で初めて導入するという試みもあった。
これらを考えると見本品の展示だけでは終わらない、利用者がいることを想定しての開発であることが伺える。おそらく35本全てが売れなくとも、数本は買い手がつくことを想像しているのだろうか。それを見越しての価格設定と考えると納得がいく。

ではだれが購入するのか?

はっきり言ってこんな考えは野暮といえよう。純粋にこの時計に魅力を感じた人、Gショックをこよなく愛し伊部氏の夢に同調した人、余力資金が十分にあり興味を持った人など様々な動機で買える人が買えばよい。国産車2台分以上の支払いをするわけだからその決断は相当なものだろうし、それが出来ることを同じGショックコレクターとして尊敬せずにはいられない。もし仮に買い手が見つからなかったとしても、伊部氏の夢の結晶を我々Gショックコレクターが忘れることはないだろう。

今回挑戦した対極融合のノウハウや新型フルメタル耐衝撃構造、ガリウムソーラーなどの副産技術が今後の魅力的な製品開発に活かされることにも期待したい。