ガリウムソーラーとは

ガリウムソーラー

ガリウムヒ素太陽電池(GaAs太陽電池)技術を応用し、CASIOが腕時計「G-D5000-9JR」に世界で初めて導入したソーラーパネル。GaAs太陽電池とは、ガリウム(Ga)と砒素(As)から成る単結晶の化合物半導体で発電する太陽電池。

GaAs太陽電池の特性

現在市場に普及している太陽電池の大半がシリコン系太陽電池であるが、光を電気に換える割合のエネルギー変換効率は理論上29％が限界と言われている。今後さらに変換効率を高めるためにはシリコン系の延長線には無い技術革新が必要とされ、その筆頭として高い注目が集まっている。

高変換効率
シリコン系太陽電池と比較し同等以上の高い変換効率を有し、改良研究レベルではシリコン系の限界理論値を大幅に超える成果を上げている。

熱光学特性
シリコン系と比較しエネルギーバンドギャップが大きいため、高温環境下でも出力低下が少ない。

耐放射線性
基板の薄膜化で電子移動距離を短く出来るため、放射線により発生する基板欠陥が電子を捕らえ電気出力を低下させる現象が発生しにくい。

高コスト
製造プロセスが複雑で高額なレアメタルを用いることから、結晶シリコン系と比較し100倍以上の製造コストがかかる。現在コストを低減させる新しい製造技術の開発が進んでいる。

GaAs太陽電池の主な用途

上記の特性や太陽光スペクトルによくマッチすることから、宇宙用太陽電池として人工衛星や国際宇宙ステーションに利用されている。

タフソーラーとガリウムソーラーの違い

タフソーラーとは「ソーラーパネル」と大容量「二次電池」で時計を安定駆動させるCASIO独自のソーラー充電システムをさす。それに対しガリウムソーラーはソーラーパネルの一種であるため、タフソーラーが充電システムの体系であるのに対し、ガリウムソーラーはその中の主要機器という関係になる。

現行ソーラーパネルとガリウムソーラーの違い

Gショックに通常採用されるソーラーパネルはアモルファスシリコン型太陽電池と考えられ、1998年に初めてタフソーラーを搭載した「DW-9300J」の登場から改良を繰り返し現在の高いエネルギー変換効率に至る。最近では省電力LSIとパワーセービング機能のシステムサポートを併用し更なる長時間駆動を実現しているため、ガリウムソーラーとの性能差は感じにくいだろう。現状では製造コストからくる価格差が唯一の違いとなりそうだが、時計役割の進化から高出力が求められる際にはガリウムソーラーが必須パネルになると予想される。