他社製カスタムパーツを使ったコレクション制作
有名メーカーが販売する人気アイテムはカスタマイズを専門とする他社からカスタムパーツが販売されることがある。そうした商品がユーザーのちょっとした希望にマッチするため楽しみ方の一つとして重宝されている。今回はそのカスタムパーツがどれほどの変化をもたらすのか、不具合は生じないのかを紹介していこうと思う。
ハイスペックモデルとカスタム内容
モデルとして使用するのはブランドナイフメーカーZelo Tolerance(ゼロトレランス)のZT0900である。こちらのナイフはレス ・ジョージ氏による立体的なデザインと、チタンやS35VN等の高級素材を活かすよう表面処理された深みと味わいのあるナイフである。ハイスペックなうえ非常に扱いやすい事から、GショックMTG-G1000Dと同じカラーリングのお気に入りアイテムに加えたくチョイスした。そこで今回のカスタマイズ内容は以下の2点だ。
- デザインにポイント色を加える
- 素材をグレードアップさせる
カスタムパーツの紹介
使用するのはアメリカのカスタムパーツメーカー『MXG GEAR』社のZT0900専用パーツ。有名メーカー商品に対し多くのカスタムパーツとカラーバリエーションを展開している。
上段が本来パーツ、下段がカスタムパーツ。左から下記の順でパーツが並ぶ。
- ピボット筒ネジ
- ピボットネジ
- バックスペーサー
- ブレードロックネジ
- バックスペーサーネジ×2
素材は元パーツが無垢のステンレス製に対し、カスタムパーツはブルー加工のチタン製となる。
カスタマイズ実践編
分解作業
使用するのはトルクスドライバー。ピボットネジ・ブレードロックネジはT8番、バックスペーサー固定ネジはT10番となる。フォールディングナイフはブレードを閉じた状態で分解作業を行うと、ハンドルを外す際にブレードロックの押し出す力でナイフが予期せぬ動きをする事がある。安全のためにもブレードはオープンにして作業を行う。またネジ回しに気を取られオープンしたナイフで怪我をする可能性もあるため、作業時は手袋を使用したりナイフの存在を忘れないことが大切だ。
初めにピボットネジを外してしまうと作業中にナイフが筒ネジから外れる事もあるので、1.ハンドルネジ2.ピボットネジの順に外していく。互いのネジ穴位置の関係でハンドルネジが固い場合は、ピボットネジを少し緩めると回しやすくなる。
全ての分解が完了したら紛失予防や位置確認のために各パーツを並べておく。
組み立て作業
カスタムパーツは全てマイナスネジで、分解作業と逆の以下手順で取り付けていく。陽極酸化処理されたブルーはドライバーによって傷つくこともあるため、気になるなら布などを挟んで回していく。
1.ブレードロックネジを固定。
2.バックスペーサーをはめ込みネジで固定。
3.ピボット筒ネジをハンドルに挿入。
4.ピボット筒ネジにベアリングを挿入。
5.ピボット筒ネジにブレードを挿入。
6.ピボット筒ネジにベアリングを挿入。
7.ハンドルをピボットとバックスペーサーにはめる。
8.ピボットネジを軽くしめる。後でブレード調整で本締めする。
9.バックスペーサーをネジで固定。これで換装作業は完了だ。
調整作業
ピボットネジの調整でブレード開閉時の抵抗を変えられる。目安としてブレードをハンドルに対して中央配置に来るように調整すると望ましい状態となる。
ZT0900ブルーカスタマイズの完成
本来落ち着いた印象のものにブルーが加わったことで明るくオシャレになった。ブレード・ハンドル共にストーンウォッシュ加工(石で傷を付ける)に対し、換装パーツはポリッシュ加工(研磨)のためブルーが光で輝きとても美しい。シンプルにピボットネジだけを換装する人もおり、好みに合わせてアイテムの印象を自由に変えられるのはとても嬉しいことだ。
本来重量は124g、換装後重量は123g。ピボット交換によるブレード開閉の問題は全く無く非常にスムーズ。
唯一難点を挙げると、ブレードロックの位置が通常より1mmほど奥までかかる事だろうか。バックスペーサーの幅が本来5.3mmであるのに対しカスタム品は5.2mmであるため、ハンドルの極々僅かな傾きが延長上にあるロックのかみ合わせ角度を変えたと考えられる。片手操作でロック解除時に親指の位置を以前よりも手のひら側へ近づける事になるため、手が大きいと操作のしづらさを感じる人もいるかもしれない。しかしロックがかからなかったり外れやすい訳ではないため不具合と言うほどの問題ではないだろう。
GショックMTG-G1000Dの仲間入り
MTG-G1000Dと同じカラーになったことでハイスペックの小型ナイフが無事仲間入りを果たした。通常メーカーからカスタムパーツが販売されることは無いため、ユーザーの「あと一歩」という思いを叶えてくれるありがたさやその完成度は評価したいところだ。メーカーとの誤差が全くない訳ではないため、その点を事前によく理解しうまく活用できると1つのアイテムで楽しみは倍になることだろう。